蓋を開ける。フルーティーな香りが広がってくる。
懐かしい景色を思い出す。あれは中学1年の頃、家族でドライブに行った。和歌山から新宮に入っていった。台風の次の日で、予定していた海水浴は中止になった。宿に泊まり、飯を食い、帰っただけだった。けれど、青い空に、豪快に波を打つ太平洋。海水浴なんかなくても、それだけで胸いっぱいだった。
その後たくさんのドライブに行った。もちろん海にも行った。家族で行ったものもあれば、友達や恋人と行ったものもあった。しかしそのどんな海より、新宮の道程、新宮の海は輝いていた。
今では家族と旅行に行くこともほとんどない。むしろ、毎日生きている中でそんなことは考えもしない。しかし、友人が買ってきた一本の梅酒は、そういう懐かしい日々を、ありありと目の前に映し出してくれた。
久々に、友達との約束もキャンセルして、家族旅行を持ちかけてみようか、そんなことを考えた。
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