仕事を終えて秋田新幹線に乗る。ここでビールをぐいっと、というのもいいが、私はビールが好きでない。駅の近くで買った羊羹を取り出す。
いちじく羊羹。いちじくと羊羹。今まであったようで、今まで見たことがない取り合わせに心惹かれた。口に含むたびにしっとりとした甘みが広がり、噛むたびにいちじくの種がぷちぷちと潰れる。喉の渇かない甘み。疲れきった体にはこのくらいがちょうどいい。
羊羹という食べ物が元々は嫌いだった。大人はこんな不味い物を買ってきてよくみやげなんて言えたものだ、と思っていた。秋田という土地も嫌いだった。バカの一つ覚えのように、旅行に行くなら沖縄だった。
今は、羊羹もありがたくいただくようになった。秋田にも普通に来るようになった。むしろ旅行気分で出張を少し楽しんですらいる。おっさんになったと言われればそうかもしれないけど、それでかまわない。こういう静かな場所が自分にはお似合いだ。
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